坂川栄次さんと豊崎由美さんの対談を聴きに

坂川栄次さんと豊崎由美さんの対談を聴きに

昨日4時半までMJ展に在廊したあと大急ぎでランドリーグラフィックス「学食展」にまわり、徒歩で30分くらいかけて青山ブックセンターに向かいました。坂川栄次さんと豊崎由美さんの対談に予約を入れあるのです。会場では見知った顔がそこかしこに…。私はミナミさんと並んでお二人の登壇を待っていて….
やがて拍手の中現れたご両人、なんと坂川さんが段につまずくハプニングがあり、場が一気に和んだ感じ。

 今回の対談は坂川さんが最近芸術新聞社から出された『本の顔』に絡んでの企画ということで、ご自身の仕事への取組み方、これまでの来し方、これからの豊富などについての内容で進行していきました。ざっとまとめると「もともと装丁家になるなんて思っていなかった」とか「デザインの力は100出しちゃいけない」「書体から時代がわかる」「時代の半歩先が丁度いい(=一歩先だと先進的すぎるとの意)」「自分は百貨店タイプの売れるデザインを重視」「専門的なことだけでなく幅広いことに眼を向けることが大事」「熱くフレキシブルに」などなど、どれもナルホドすとんと腑に落ちるお話でした。
 人生には意図せずして起こることと言うのがあるけれど、それはどれも無駄にはならないとも仰って、ことにその言葉に対しては、何度も頷きたい心地でした。

 私は幼少の頃に水泳を習わされていたのですが、意図せず選手コースに移動する羽目になり、数年後そこから脱するためにシンクロナイズドスイミングに移ったのですが、実のところどちらも自分向きではなかったのです。しかし自分の学校では最速のスイマーで、くすぐったい思いをしていました。
 また、高校・大学と日本画専攻で進学したものの意欲消失で画家志望を転向し、ファッション雑貨の企画室のある会社に就職しました。さらに、大学時代のアルバイト先で知り合った人の誘いでサンバチームに遊びに行くようになり、パーカッション担当のはずがなぜかダンサーにされてしまったところすっかりハマり、数年の間仕事&サンバという生活を送っていたことがありました。人生は降って湧いた話から始まることが案外多いのですね。

 ただ、なんだかんだ意欲消失と言いながらも私はいつも絵を描いていました。ある時はバッグや財布や帽子の企画案、あるときはサンバの山車やメンバーの衣装案、教育ビデオの原画….結局その時いる中で描くことを担当しているのです。今にして思えば面白いものです。
 全く私はどこへ行くのだろう。わかるようなわからないような未来ではありますが、近い将来もっと本の表紙や中身、絵本などの仕事を増やしていければな〜、と強く思うのであります。

 ところで、対談の聞き手であった豊崎さんという方を私は初めて知ったのですが、かなりの聞き上手でした。本の内容を把握した上での進行の妙は、帰宅途中本を開いてよくよく実感できました。今回はお二人のプロの仕事に聞き入った対談でした。